同著者の『サハマンション』を先に読んでしまいましたが、とうとう読みました。
『82年生まれ、キム・ジヨン』はかなり読みやすかったです。
さすがに大ベストセラーだけあって楽しませていただきました。
映画化されていたので、今回は映画の方を先に観ました。
これは正解だったと思います。
映画の印象が邪魔をすることなく、イメージ作りにも一役買って相乗効果がありました。
映画だけとか、本だけとかではなく、ぜひ両方をお楽しみいただきたい作品です。
それにしても、『82年生まれ、キム・ジヨン』は変わった小説です。
小説というかジャーナルって感じでしょうか、その両方が混ざり合ってる作品ですね。
小説として十分楽しめて、そのうえ、統計数字や歴史背景の説明がついていて考えさせられます。
一種のフェミニズム小説ともいえるようですが、韓国の女性の置かれた位置は過酷です。
女であるというだけでこの状況の中で生きなくてはならないとは。
なんと、わずか30年前には女だとわかった段階で生まれることなく抹消される命があったとか。
運よく生を得てからも、女というだけで受ける差別は半端ではない。
「韓国に生まれなくてよかった」と思って、日本を顧みると・・・
いえいえ、大差ないんじゃないですか。
それどころか、韓国では「今、女性たちは自分の意見をはっきりと主張し、不条理な社会と向き合っている。」(あとがきより引用)
今、この本が世界中で翻訳され読まれています。巻末に「日本の読者の皆さんへ」という著者からのメッセージが載っています。
そこには、「日本の読者の方々にとっても『82年生まれ、キム・ジヨン』が、自分をとりまく社会の構造や習慣を振り返り、声を上げるきっかけになってくれればと願っています。」とあります。
2021年3月に発表された「ジェンダー・ギャップ指数2021」で、韓国は156ヵ国中102位、日本は120位でした。