詩人とライターの往復書簡を読みました。
詩人とは言わずと知れた詩の大家・谷川俊太郎さんで、
ライターとは「地べたのライター」と自ら名乗るブレイディみかこさんです。
『その世とこの世』というタイトルの本です。
ワタシにとってはお2人とも興味関心を引かれる方ですので、
どんな化学反応が楽しめるのかと、ワクワク気分でページをめくりました。
面識のないお2人の手紙のやりとりですが、
これは、『図書』編集部の発案だとか。
このお2人を結びつけるとは、かなりの策士ですな。
そして、見え隠れするのが、作家の高橋源一郎さんの存在です。
いきなり、この番組の話題でブレイディみかこさんの話が始まっています。
偶然と言うには、うまくタイミングが合いすぎています。
人生にはこういうことってあるもんなんですよね。
こんな感じですー
ブレイディみかこさんは番組の後半の「新春座談会」に出演したのですが、
なんと、その番組の前半に谷川俊太郎さんが出演していたとか。
面識もない「谷川さんへの手紙を書く」という大仕事を抱えているときに、
当の本人とニアミスするわけですからね、どんなめぐりあわせ?
と、びっくりするのも無理ないですよね。
また、ブレイディみかこさんが、高橋源一郎さんとオンラインで対談した際、
源一郎さんが、「すごい本を読んだ」って紹介したのが谷川さんの『ぼく』という絵本で、
このとき、ブレイディみかこさんはその本を既に持っていたとか。
単なる偶然なのか、はたまた必然なのか。
人は会うべくして人と巡り会うのか。
まだ、他にもこんなのがあります。
谷川さんの『あるとない』という詩の誕生秘話です。
この作品は、「ジャック・ロンドンの『どん底の人びと』を読んだ谷川さんが、「自分は貧困を書いたことがない」と考えて書いた作品」だったようです。
そして、ブレイディさん曰く、「わたしの座右の書と言ってもよい一冊なのです。時々、わたしの人生はこの本に遠隔操作されているのではないかと思うほどです。」
・・・というところなどは鳥肌ものです。
こんなことが自分の身に起こったら、もう大興奮です。
手紙のやりとりの後半では、谷川さんがこんなことも書いています。
「私がブレイディさんのお便りにちっとも応えていないと源一郎さんに言われてしまったので、・・・」
ときどき、こうやって源一郎さんが茶化しているのも想像するとおもしろい。
温かいつながりをうらやましく思います。
詩人と地べたのライターの往復書簡は一見かみ合っていないようにも見えますが、
イヤイヤ、結構、考えさせられる。
こういうやりとりも刺激的でおもしろいものですね。
一年半の手紙のやりとりだったそう。
読んでいる方も、何が出てくるのか楽しみでした。
この世は他人だらけである
他人でないのは自分だけだと思うと
寂しい
最後の手紙にあった「自分だけ」という谷川さんの詩の終わりの3行です。
う~ん、詩っていうのは余韻を残すなぁ~