鈴木さんが著した本『スタジオジブリ物語 』の中に意味深な箇所があるらしいですよ。
宮崎監督が「読んでみてください」って鈴木プロデューサーに渡した本、
それが『失われたものたちの本 (創元推理文庫)』だってもっぱらの噂です。
ちょっと読んでみて確信しました。
あのオッサン(宮崎監督のことを親しみを込めて)がコレを読んだのは確実ですね。
「物語の中には、実は見た目とまったく違った意味を持っているようなものがあるだろう?隠された意味があり、それをひもとかなくてはいけないようなものがさ」
コレなんか、あの映画のことを言ってると思ってしまいます。
そして、この物語の主人公の少年デイヴィッドは本棚の中に、ある詩集を見つけます。
「ある見習い騎士と―作中では「チャイルド」と呼ばれていましたが―暗黒の塔と、そこに秘められた秘密を巡る彼の探求の旅を描いたものでした。しかし、ちゃんと終わっているのかどうか、彼にはよくわかりませんでした。騎士が塔に到着し、そこで途切れてしまっているのです。デイヴィッドは塔の中に何があるのか、辿り着いた騎士の身にどんな出来事が降りかかったのか気になってたまらなかったのですが、どうやら作者の詩人は、そんなことはたいしたことではないと思っていたようなのです。デイヴィッドは、詩人というのはどんな人たちなんだろうと不思議になってきました。塔に到着するあたりでようやく盛り上がってくるのは誰の目にも明らかなのに、この作者ときたら、そこで書くのをすっぱりやめて、他の作品に取りかかってしまったのです。もしかしたら後で続きを書こうと思ったままうっかり忘れてしまったのかもしれませんし、暗黒の塔にふさわしい恐ろしさの怪物を何も思いつかなかったのかもしれません。デイヴィッドは、無数のアイデアを書いては消し書いては消しを繰り返し、走り書きで埋め尽くされた紙の山に埋もれた、詩人の姿を想像してみました。」(「失われたものたちの本」より引用)
「詩人が途中でやめちゃったのなら、続きはボクが書こう!」とかなんとか、
あのオッサンならそんなふうに思ったとしても、ぜんぜん不思議ではありませんよね。
宮崎駿監督がこの本にインスパイアされたのはほぼ間違いないでしょう。
映画「君たちはどう生きるか」がこんなに楽しめるなんて、
こっちの本も、がぜん読みたくなっちゃいました。
良いものって、どんどん興味をかきたててくれるものなのですね。