芥川賞を受賞した話題作だから読んでみた。
市川沙央著『ハンチバック』
「わかるわぁ」と言ったら、
「健常者のおまえになにがわかるのか!」って言われそう。
「まったくわからない」と言ったら、
「ボーッと生きてるからだよっ! いいよな、その身分でいられて」って返ってきそう。
他者を理解するのは難しい。
紙の本をめくるのも命がけ、という人がいることを突きつけられハッとした。
「日本では社会に障害者はいないことになっている」
こう指摘されれば、その通りかもと思う。
自分自身で気づく、ワタシ自身も
あるときは差別する側の人間で、
別のあるときは差別される側の人間、だということ。
この本を読んで、「障がいを持つ人の苦労がわかった」なんてとても言えない。
障がい者ががんばってる姿を見て勝手に感動する「感動ポルノ」なる言葉もある。
差別的と言われるのを恐れて障がい者のことを語るのを避けてしまうことも。
互いに理解し合うのは難しいと感じる。
でも、突き詰めてしまえば、人は人を完全には理解できない。
そこから始めていくしかない、簡単じゃないけど。
そして、大事なことは「個」でいることだと思う。
障がい者・健常者などという括りじゃなく、個でいること。
そうやって、個の自分が個としての他者を理解しようと努力して、
他者の中に自分を見つけ、共感できるようになるのではないか。
それにしても、『ハンチバック』
「妊娠と中絶がしてみたい」
こんな望み?欲望?を、どう捉えたらよいのだろう。
わからない。
ワタシは彼女の言葉をキャッチしきれない。
- 価格: 1430 円
- 楽天で詳細を見る