「マチズモを削り取る」ってどういうことだろう?
マチズモとは男性優位主義のことです。
日本の公共空間にこのマチズモがしぶとくはびこっているという。たとえば、路上、電車、学校、会社、トイレなどなど。
この本は、こういう「マチズモの場面」に著者が出かけて「多くの人に話を聞き、マチズモの在り処を探し当て、こびりついた問題点を削り取る作業をくり返し」「削るならここからだな」を示してくれる。
こんなことをすると「なんか最近、ちょっというだけですげー叩かれるじゃん」という話になるのですよね。
ワタシもできれば触れない方がいい話題かなとも思いました。読むにしても書くにしても自分のジェンダー感覚があぶり出されてしまうのです。
つまり、この本を読んだときには自分の性(男か女かはたまたそれ以外の何かか)がすごく意識されます。
この面倒くさい領域に武田砂鉄さんが果敢に挑んでくれました。「本当にお疲れさん」としか言いようがないです。
個人の感想としては、1章「自由に歩かせない男」と、10章「寿司は男のもの?」が特に印象に残っています。
1章では、駅で女性ばっかり狙ってぶつかってくる男がいるという事実を知りビックリ。
10章では高級寿司店に30代の男(著者)と20代の女(編集者K)が出向くという企画のテレビ番組を見るように楽しみました。
いゃ~、考えさせられました。
【目次】
一章 自由に歩かせない男
二章 電車に乗るのが怖い
三章 「男/女」という区分
四章 それでも立って尿をするのか
五章 密室に他人が入り込む
六章 なぜ結婚を披露するのか
七章 会話に参加させろ
八章 甲子園に連れて行って
九章 体育会という抑圧
一〇章 寿司は男のもの?
一一章 カウンターと本音
一二章 人事を握られる
おわりに