特段ファンというわけでもないが、気になっていた人
それが坂本龍一さんです。
この本、『音楽は自由にする(新潮文庫)』が目に留まり迷わず手に取りました。
本書は、坂本龍一さんの一人語りの自伝という感じです。
雑誌のロングインタビューを一冊にまとめたものなのですが、
とても読みやすくて引き込まれ、夢中で読みました。
インタビューなのに、それを感じさせない臨場感。
坂本さんが目の前で自分に語ってくれているようです。
坂本さんと言えば、YMOの人というくらいの認識で、
「ライディーン」は知ってる。
「い・け・な・いルージュマジック」や「君に、胸キュン。」ならよく聴いた。
こんな程度の認識しかありませんでしたが、読んで良かった。
「YMOだって誘われたから始めたんですよ。どうしてこんなの引き受けちゃったんだろう、でもまあ細野さんから声がかかったのはうれしいし、みたいな感じで。考えてみると、自ら進んで始めたことなんて、たぶんあんまりないんですよ。うしろ向きの人生ですよ。」(本書P233)
晩年?の社会的活動なんかに取り組んでる姿なんかも、ワタシが彼に惹かれる理由だったと思います。
ご本人にとっては「行きがかり上」だったみたいですね。
こういう音楽を聴いて、こういう本を読んで、こういう人たちと交流があったのですね。
音楽に出会って、人に出会って、社会に出会って、そうやってこの人は出来上がってきたんだと感じました。
この本を読んでいて、街の風景が浮かんできました。
東京で同じ時代を過ごした人だったら、リアルに当時が浮かんでくるのでしょうね。
ワタシなんかはちょっとズレてるので、ニアミスって感じですが。
新宿中央公園とその周辺の高層ビル群が以前は淀橋浄水場だったなんて。
高円寺、阿佐ヶ谷、吉祥寺、三鷹、国分寺など、中央線沿線がフォークの中心地だったとか。
同世代の人にはリアルに思い浮かべてたまらないでしょうに。
安保闘争や学生運動、そんな時代の空気を坂本さんは思いっきり吸っていたんですね。
本を通してだけど、ワタシもその世界を覗かせてもらってありがとうです。