「自分の想定している読者をどこか知らない国の、100年後の少年、あるいは少女としています。」
これは、作家の高橋源一郎さんの言葉です。
自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『飛ぶ教室』で話していました。
なんでか?
「おそらくその頃に、一人の人間ができあがるからです。それまでは、人間のようなものにすぎなかった存在が、周りの人々、周りの社会、偶然の出来事を経て、突然一人の人間になる。」
それが14歳だというのです。
偶然ですが、『14歳からの個人主義~自分を失わずに生きるための思想と哲学』という本を読んでいたものですから、ちょっとびっくりしました。
改めて考えてしまいました。
ワタシの14歳の頃は、どんなだっただろうか、と。
この本にも出てくる夏目漱石の「個人主義」を知ったのもこの頃だったのかも。
明治の文豪と並び称される森鴎外と比べて、なぜか漱石の方に惹かれた。
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。」
「草枕」の冒頭の一節ですが、100年以上前の言葉が今の自分にこんなにしっくりくるなんて。
『14歳からの個人主義』の著者・丸山俊一さんもこう言っています。
「孤立を恐れ、何かに同化したいのであれば、書の中に対話する相手を求めたらどうでしょうか?」
「歴史上の人々が残してくれた書物、そこに残された言葉から、書き手のものの見方、考え方を味わい、その醸し出す空気感を思い浮かべていくのです。言葉の背後にあるものも想像し、イメージし、考えようとするのです。最初は簡単にはいかないかもしれませんが、そのうちに、だんだんいろんな人々の心の声が聞こえるような感覚を抱くようになり、相性のいい人、自分が親近感を抱く書き手なども見つけられるようになっていくでしょう。」
著者からの若者に向けたメッセージですね。
ワタシも同感です。
付け足し/「14歳からの~」って、タイトルについているけど、14歳にはちょっと難しくない? 14歳のワタシは、この本を読んだら理解できるのだろうか?・・・と、ボソボソ