誰かのセリフじゃないですが、
この本、読み終わって、
映画って本当にいいなぁって思いました。
『心ゆたかな映画 ハートフル・シネマズ』です。
SFはあまり食指が向くジャンルじゃなかったのですが、
この本を読んで俄然興味が湧いてきました。
『ドント・ルック・アップ』はすぐにも観てみたい!
著者である一条真也さんのうんちくがすごいです。
映画の知識自体もさることながら、
専門のグリーフケアも切り口になってるところが
コメントに深みを増しているのでしょう。
たとえばこんな・・・
「わたしは、この映画を観て、『やはり、人間には死生観が必要だ』と思いました。もちろん生き延びる可能性を求めて、人間は最大限の努力をしなければなりませんが、どうしても死が避けられないとわかったとき、それを受け入れる『死ぬ覚悟』を持つことも必要です。」
「多くの人間が死ぬ原因は彗星の衝突ではありません。ガンや心臓病をはじめとした病気であり、寿命による老衰が多いでしょう。死が自分に迫ってきたとき、いたずらに藻掻くよりも、安らかに死を受け容れる死生観が求められるのです。」
・・・と、こんな具合です。
また、こんな表現もあります。
「読書は教養を育てますが、行き着くところは『死』の不安を乗り越えるための死生観を持つこと」
なるほど。
「映画とは『時間を生け捕りにする芸術』である」
この表現もおもしろいと思います。
どういうことか?
写真と比べて述べているところがあります。
「写真は、その瞬間を『封印』するという意味において、一般に『時間を殺す芸術』と呼ばれます。」
それに対して、映画は『時間を生け捕りにする芸術』というわけです。
「かけがえのない時間をそのまま『保存』するからです。『時間を保存する』ということは『時間を超越する』ことにつながり、さらには『死すべき運命から自由になる』ことに通じます。」
タイムトラベル映画って動画撮影技術の賜物ですね。
472ページ、100本もの映画作品が紹介されているので、とても全部は読みきれない!
と思っていましたが、
いやいや、読み始めたら引き込まれて最後まで行ってしまいました。
紹介されている映画が観たくなりました。
著者の思う壺にハマりました。