『続 窓ぎわのトットちゃん』を読みました。
読みだしたらどんどん引き込まれて、一気に読んでしまいました。
トットちゃん、サイコーです。
黒柳さん、スゴイ!
読んでいて、物語の世界がありありと浮かんできます。
まるで目の前で起こっているかのようです。
ビックリするのは、黒柳徹子さんの記憶力ですね。
何十年も前のことをこんなにも生き生きと描けるなんて、驚くべき記憶力です。
前作『窓ぎわのトットちゃん』はトモエ学園が印象的でしたが、今回も負けず劣らずです。
「とっさの判断だった。トットは線路の下にもぐりこみ、両手で枕木にぶら下がった。轟音を立てて汽車が頭の上を通過していく。貨物列車には、いったい何両の貨車が連結されていたのだろう。それは永遠にも感じられる長い時間だった。」(113p)
「『スタンバイ・ミー』っか?」って、突っ込みを入れたくなるくらい。
疎開先で定期券を落としてしまい、学校まで線路の上を歩いていたときのエピソード。
「鉄橋を渡っていたとき、突然『ブオ―――ッ!』という汽笛の音がして、来るはずのない汽車が前方から近づいてきた。臨時の貨物列車だった。鉄橋の下には川が流れている。川の流れは激しくて、しかも深そうだ。・・・」
それで、線路にぶら下がった・・・というわけです。
まるで、映画のワンシーンですよね。
他にも、人でごったがえす駅のホームで親と離ればなれになり、
ひとりで疎開先の青森に列車に乗って行く場面。
ぎゅうぎゅう詰めの車内でオシッコがしたくなったトットちゃんが、
人をかき分けやっとのことでトイレにたどり着くが、
トイレの中も人でいっぱいで使うことができず、
しかたがないので、列車の窓からオシッコをするシーンもリアルです。
惹かれるのは、記憶力だけじゃなくて、そのセンスです。
「ロシアの文豪アントン・チェーホフの『兄への手紙』も、好きな作品だった。『目には見えないもののためにも心を痛める』ことが大切だと書いてあった。チェーホフの考える『やさしさ』がトットにも伝わってきて、やさしい人間になるためには教養を身につけなくてはならないし、そのためには本を読むことが大事だと考えるようになった。」
この辺のセンスが好きです。
それに、特に印象的だったのがこちら、
「大人になってから気づいたことだけど、この日の丸の小旗を振ったことをひどく後悔した。どんな理由があっても、戦いにいく人たちを「バンザーイ!」なんて言って見送るべきではなかった。スルメが欲しかったにしても、トットは無責任だった。そして、無責任だったことがトットが背負わなくてはならない「戦争責任」なのだと知った。」(45P)
黒柳徹子さん、サイコーです。
書いてくれてありがとう!と言わずにはいられませんでした。