そのタイトルに惹かれて、読みました。
その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――
精神科医の森川すいめいさんが「自殺希少地域」5か所を巡ったときの記録です。
「自殺希少地域」とは自殺で亡くなるひとが少ない地域のことです。
「自殺希少地域」だって前情報があるからなるほどなぁ〜って感じるところがあるけど、
それがないと、ただの田舎探訪って感じ。
著者の森川さんはどうだったんだろう?
こういう研究は難しいなって思いました。
「自殺希少地域」ってことは、一人ひとりが大事にされてるんだろうなとか思うし、
読んでるこちらも、他の地域と違うはっきりした特徴が知りたくなる。
でも、証明するのは難しいですからね。
なんとなく伝わってきたものは確かにあります。
「自殺希少地域の人たちは、相手の反応に合わせて自分がどう感じてどう動くかに慣れているように感じた。」
「近所付きあいは緊密ではなくあいさつ程度立ち話程度の関係で、それでいて人間関係の数は多い。」
「できることは助ける、できないことは相談する」
歯が痛いと言えば、82キロ先の歯科医まで「送るわ」だし、
この辺に食べ物屋がないか?と聞けば、「お好み焼き屋でよかったら乗ってきな」と、
ひとを助けるにおいて躊躇がない。
「どうしますか?」などと、意思決定を相手任せにしない。
確かに、これなら好意を受け入れやすいですよね。
こういうエピソードがたくさん出てくるから、
ほっこりまったりの旅行エッセイみたいに楽しめます。
本書に出てくる、オープンダイアローグは気になる。
それに、著者・森川さんの思考を大きく転換させるきっかけになったという、
岡檀さんの著書『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』も読んでみたくなりました。