むなしい・・・
この、なんともやっかいな感覚・・・
どうやって付き合っていったら良いのでしょうか?
しっかり考えさせてくれるのが本書です。
きたやまおさむ著『「むなしさ」の味わい方 (岩波新書)』を読みました。
著者は、「帰ってきたヨッパライ」を大ヒットさせたフォーク・クルセダーズのメンバーである北山修さんです。
だからでしょうか、本書では精神分析の視点からも、言葉の視点からも、文化からも・・・
そして、自身の経験からと、あらゆる角度から「むなしさ」に迫ってくれます。
むなしいって、どういう感覚なんだろう?
望んで味わいたい感覚ではないことは確かです。
できることなら、「むなしさ」に襲われるのは避けたい。
しかし、そうも言っていられない。
北山さんも、冒頭でこんなふうに書いています。
「自分のやっていることに意味があるのか。自分に存在価値があるのか。大切なものを探しているけど、まったく見つからない。何をやっても、砂をかむようで、苦く味気がない。徒労感を覚え、心にぽっかりと穴があき、そこを風が吹き抜ける。むなしいー。」(p.2)
そうです、心にポッカリと穴が空いたような、この感覚です。
誰だって無縁じゃないと思います。
でも、こんな感覚に襲われたときに逃げてはダメなんだそうです。
「むなしいと感じるということは、立ち止まって、自分を見つめ直すことでもあります。」
そして、
「人生において『むなしさ』を感じることは、とても大切なことです。それをかみしめ、味わうことで、人生がより深みが出てくることもある」(P.20)
本書を読めば、むなしさを克服できます!なんて簡単なものではありません。
でも、むなしさを噛み締め、味わう覚悟はできると思います。
そして、その先には深みのある人生が待っている、っていうのは嘘じゃない。
そんなふうに思わせてくれる本でした。