誰の言葉だって、心に刺さってくることがありますが、
お医者さんの言葉ってグサッてくるときがありますね。
なんでだろう? 心細いシチュエーションで聞くからかなぁ。
重い病気がわかった幼い子を持つお母さんが聞いた言葉です。
「なんで午前中に連れてこなかったの?」
お医者さんの方には傷つけるつもりなんて全然ないのでしょうね。
それよりも最善の処置ができなかったのが悔しいから、この言葉になってしまったのかも。
午前中なら大きな病院にスムーズにつなげたかもしれないから。
一刻も早く最善の医療につなげたいという気持ちからなんでしょう、きっと。
でも、これがお母さんの心にずっと突き刺さったままになることもあるんですね。
また、別のケースで、重い病気がわかった子どものお父さんが、
「何か原因があるのでしょうか?」と尋ねると、
先生は「いえ、ただアンラッキーだったということです」と。
これだって、原因は特定できない旨を表す表現だったのでしょう。
しかし、アンラッキーとは・・・です。
子どもの命が危ぶまれる病気がわかった時に、こういう言葉が家族にどう響くか。
子どもにもしものことがあったときは、親の胸にずっと刺さったままになることも。
これは最近読んだ本『こどもホスピス―限りある小さな命が輝く場所』にあったエピソードです。
こんな言葉が耳に残っていたからでしょうか、
朝日新聞の"フロントランナー"で見かけたお医者さんの言葉にビックリしました。
そのお医者さんとは、訪問診療医の田代和馬さんです。
初めての患者と方針を話し合うインフォームドコンセントでこんなふうに言い放つのです。
「『末期』と言うけどね、『まだまだ元気』の略なんです」
「この先どうしていきたいか、一緒に考えていきましょう」。
なんて、やさしい言葉なんだろうって思いました。
言葉だけじゃないんですよ、この先生はインフォームドコンセントのなかで
一枚の真っ白な紙に末期、死戦期、最期までの変遷を図付きで描きながら説明していく。
「あの紙一枚貼っておけば、何度も見返せる」とも。
なんともやさしい。
でも、これって簡単なことじゃないと思ったのです。
すごいお医者さんがいたもんだ!