旅はいいものです。
日常から離れられるのがいいのです。
家族のことが気になったり、仕事のことで頭がいっぱいだったり。
知らず知らずのうちに、何かに捕らわれてしまってニッチもサッチもどうにもならない。
そんなふうに思っていたが、無理やり誘ってもらって離れたところに行くと、こんなに気分が変わるのなのだと実感しました。
家からどんどん離れていくときは、頭の中でユーミンの歌が流れる。
「この道は、まるで滑走路、夜空に続く~」だったり、
「街はディンドン、遠ざかってゆくの~」だったり。
何かを感じるが、自分では表現ができないとき、
ピッタリの表現を見つけると嬉しくなります。
「ありがとう、ユーミンさまっ!」って感じです。
映画のワンシーンなんかも、その一つです。
この前の旅で思い浮かんだのが、ギルバート・グレイプでした。
ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが出演した、1993年のアメリカ映画です。
この映画は、「何も起こらない、ただ退屈なだけの映画」などと酷評する人もいますが、
ワタシは大好きな映画です。
この映画に関しては、いっぱい思い出すシーンがあります。
今回、旅に出て思い出したシーンは、
ギルバートが、自分を縛り付けているだけの家を、遠くの川辺に座って眺めながら、
「あんなに小さいんだ」と、つぶやくシーンです。
これ、わかるなぁって共感しきりです。
渦中にいる時には、わからなくなっちゃう、ってことがよくあります。
物理的に距離を取って眺めることで、冷静になり客観視できるのです。
あまりにも苦しくて、逃れられないと思っていても、何とかなるもの。
「自分にとって全てのように思えた世界は、実はこんなに小さいんだ」と、気づかせてくれる瞬間です。
そして、こういうことを感じているのはワタシだけじゃないってことを、この映画を観て思った。
だから、映画や物語はいっぱい自分の中に取り入れておきたいものだと改めて思いました。