難しいことをわかりやすく教えるのが、良い先生。
生徒に火をつけるのが、もっといい先生。
こんなことを語ってくれた先生がいました。なるほどなぁと思ったのを覚えています。
教員採用試験の受験者数が少なくなっているというニュースをあちこちで聞きました。
先生の質が低下するのではないかと心配です。
なんだかんだ言っても、教師の存在は子どもの人格形成に大きく影響しますから。
AERAdot. に、内田樹さんと岩田健太郎さんの対談が載っていました。『リスクを生きる (朝日新書)』という本の一節です。
その中にある、内田樹さんの言葉が印象的です。
若い教師志望の大学生に向かって、「きみたちは生徒にとって非常に危険な存在になり得る」ということを教える必要があると僕は思います。教師は目に見えない刃物のようなものを持って教壇に立っている。その危険性を教師自身にまず自覚してもらうことがたいせつだと思う。教科をうまく教えるとか、進学成績を上げることよりも、「子どもたちを絶対に傷つけない」こと、それが教師の使命としては最優先されるべきなんです。(『リスクを生きる』から引用)
ワタシも同感です。でも、このことを自覚している先生は多くないと思います。
最近の先生方は管理職に評価をされているのをご存知ですか?
その評価が給料にも影響してくるってことがあるようです。
こうなってくると、多くの先生が指導力とか統率力が問われるわけでしょ。
聞いた話ですけど、ある先生がこんなことを言っていました。
「クラスで一番幅を利かせている“ワル”を見つけて、そいつを早いうちに叩く、これだよ」
えっ? 教師の言う台詞じゃないでしょ?
これじゃ、生徒集団のカーストやらピラミッドのような序列を利用するってことでしょ。
先の本の中で、内田さんはこんなふうにも言っています-
教師の第一の仕事は子どもたちに向かって、「君たちはここにいる限り安全だ」と保証することです。「ここは君たちのための場所だ。だから、君たちはここにいる権利がある。君たちがここにいることを私は歓待する」と子どもに向けて誓言すること。子どもたちに安全を保証し、承認を与え、歓待し、祝福する。それができる人なら、教え方がどんなに下手だって、僕は構わないと思うんです。(『リスクを生きる』から引用)
教師の質を見極める目を、保護者である私たちが磨かなくてはいけないですね。
そして、内田さんが言うような先生が増えることを願っています。
子どもたちのために、教育を学校任せ・教師任せにしてはいけない、と改めて思いました。