卒業シーズンですね。
そんなことを思っていたら、高校時代の先生が言っていたことを思い出しました。
高校1年生だったワタシたちが、「卒業式なんてウチらに関係ないじゃん。立ったり座ったりさせられてウザいんだよね」なんて文句を言っていたときのことでした。
「そうだよ、卒業式は卒業生が主役だから、1年生なんて枯れ木の賑わいくらいの存在でしかないよ。」
「私があなたたちにしてほしいことは、卒業生の中に2年後の自分を見つけてほしいってことだ。」
「そんなふうに見ていれば、卒業生一人一人がどんな思いでいるのか想像力も働くだろ。」
そして、卒業式後に教室に戻った私たちに、先生はこんなことを話しました。
「どうでしたか? あいさつやメッセージがたくさんあったけど、やっぱり生徒の言葉はいいね。
覚えてますか、どんな話だったか?
私たちはいろんな話を聞くけど、じゃあ、どんな内容の話だった?と尋ねると、ほとんどの人は覚えてない。
話の細かい内容なんてみんな忘れちゃうものなんだ。
だからこそ、そのときに集中して一所懸命に聞くんだ。
そのときに、感じることを大事にしなきゃ!
そのときそのときの瞬間に感じたものを大事にしなきゃいけない!
そうやって、人間は自分をつくっていくんだよ。
人間はいろんな人の話を聞いて「なるほど」とか「それは嫌だな」とか、いろいろ感じる。
それが大事。ただボーッと考えていても自分の考えはできない。
人の話を聞いて、本を読んで、いろんな経験をして、だんだんと少しずつ、できていくものなんだ。
たとえその内容を忘れてしまっても、自分の中で血肉になっていくものなんだ。
そうやって、あなたという人はつくられていく。」
そうかもしれないと、今ごろ思い出して、うなずいている。