偏差値っていうのが使われるようになって、学校が序列化されるようになりました。
大学だけじゃなくて高校も、今では都市部で中学校も?
大学を受けるような年頃ならまだしも、中学生や小学生にはマイナス影響が心配です。
ほとんどの人が高校受験で偏差値というものに出会います。
偏差値によって行ける学校が決まってくるから、自分は偏差値☓☓点の人間だと思い知らされます。
こうやって「あの人より上」「この人より下」という見方が身についてしまうわけです。
中学校まではみんな同じ教室でごちゃごちゃだったのに、高校になったらきれいに輪切りされちゃうってことです。
中学までは一緒にふざけ合っていた間柄で、勉強ができるできないも個性のうちだったのに、
このあたりから、「あの子は私より上」「あいつはボクより下」なんて考えに囚われてしまいます。
多感な時期ですから、人間形成に多大な影響を及ぼすのではないかと心配になります。
この時期に覚えた劣等感はなかなか拭えません。
脚本家の山田太一さんが「ふぞろいの林檎たち」のなかで、見事に描いていました。
就職面接で一流大学出身者を優遇する会社の姿勢に卑屈になる西寺(柳沢慎吾)に、岩田(時任三郎)が言ったセリフがこれ――
「胸張ってろ、胸はってりゃいいんだよ」
「ジーン」とくるシーンでした。忘れられません。
今も状況は全然変わってないのかも。