予備校つながりで、思い出したことがあります。
予備校はそれまでの学校と比べると教室が大きかった。
クラス制をとっている予備校でしたが、クラスの収容人数は高校よりもかなり増えました。
教室も大きければ、黒板もビックリするほど大型でした。
カルチャーショックだったのは、授業が終わるとその都度、掃除用具が一揃え入ったバケツを持ったオバサンもしくはオジサンが教室に入ってきて黒板を掃除することです。
その手際の良さといったら感動的でした。
講師が目一杯書き込んだ黒板を専用の道具を使って新品同様に磨き上げていくのです。
初めて見たときは、あまりの見事さに休み時間中ずっとその動きを目で追っていました。
後になって一緒に仕事をすることになったアメリカ人と、学校での掃除の話になりました。
そのとき訊いた話では、アメリカでは生徒が学校で掃除をすることはないそうです。
彼の話では、学校内の掃除も一つの労働なので、生徒が掃除をしてしまったらその人たちの職を奪ってしまうことになる、と。
日本で生まれ育ったワタシにはその視点はありませんでした。
学校の掃除は児童や生徒が自分たちでするものだと思っていましたから。
この考えに疑問を持つことすらありませんでした。
どちらが良いとか悪いとか正解があるのかどうかもわかりませんが、「こういう考えもあるんだ」と知ったことでワタシの視野は確実に広がりました。
当たり前を疑うきっかけになった貴重な体験だったと思います。