真っ青な空に赤い風船がひとつ
空に吸い込まれるようにだんだん小さくなっていく
少女は小さな手に風船のひもをにぎりしめ
満面の笑みを浮かべている
赤い風船がふわっと揺れた
風船のひもは少女の手をするりと抜けた
少女は必死にひもをつかもうと試みる
その甲斐もなく風船は勢いを増し
空に舞い上がった
手を離れた瞬間の風船は
がんばればつかめそうなのに
少女は何度も何度も飛び跳ねる
もう手は届かない
悲しくて悲しくて大きな声を上げて泣いた
風船はますますスピードを上げ高く高く舞い上がる
泣いて泣いて泣き疲れて
それでも諦めず風船をみつめている
真っ青な空に赤い風船がひとつ
空に吸い込まれるようにだんだん小さくなっていく
「行きたいところに飛んでいったんだね」
誰かが言った