「がんばる人を応援する」のが私たちの社会です。
それでは、がんばれない人は見捨てられてしまうのでしょうか。
そんなことをあれこれ考えさせてくれるのが、本書『どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―(新潮新書)』です。
著者の前著『ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)』を読んだときにも思ったことですが、「自分が見ている世界がすべてではない」「この社会にはいろいろな人がいる」ということを考えさせられました。
世の中には、がんばろうとしてもどうしても頑張れない人がいる。それはどうしてか。その人たちをどう支援していったらよいのか。
子育て中の親御さんだったり、教育関係や支援関係で働いている方には参考になる内容だと思います。
頑張っているようには見えない我が子をみたら、「もっとがんばれ!」って言ってしまいそう。でも、そうすると追い詰めることにならないか。
頑張っているようには見えない我が子に、「人それぞれだから無理して頑張らなくてもいいよ」といったら、見捨てたことにならないか。
そんな難しい舵取りを迫られる立場の方には参考になるでしょう。
ただ、どうしても前著と比べてしまうのですが、前著はインパクトが大きかったですね。
本書の副題に「ケーキの切れない非行少年2」と書いてありますから、出版社もそのあたりがわかっているということか。
著者も、本書を読むまえに『ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)』を先に読むことを「はじめに」でおすすめしています。ワタシも同感です。